Project.29
Research on community design
泉北ニュータウンにおける「自走型自治モデル」研究

Research / Sakai / 2025~
失われつつある「自治」の再構築
かつての日本には「結」や「講」といった相互扶助の仕組みが息づいていましたが、現代社会においてこれらの伝統的なコミュニティは希薄化し、市民が主体となる「自治」の概念が育ちにくい状況にあります。特に、高度経済成長期に整備されたニュータウンでは、住民の高齢化や施設の老朽化が進む一方で、行政依存や無関心といった「冷気循環」が課題となっています。本研究では、こうした課題を乗り越え、住民が自ら地域を運営する「自走型自治モデル」の構築を目指しています。

自走型自治を支える3つの要素
持続可能な地域自治を実現するためには、以下の3つの要素が相互に作用し、「暖気循環(つながり・主体性・自走)」を生み出すことが不可欠であると考えています。
1.敷居の低い居場所:誰でも気軽に訪れることができ、排除のない空間。ここが新たな「つながり」の起点となります。
2.実行会議:住民が意思決定に直接参加する民主的な場。対話を通じて、地域に対する「主体性」を醸成します。
3.ハイブリッド収入:行政や寄付だけに依存しない、複合的な財源。活動の「持続性」を確保するための基盤となります。
公益信託:財源と権限を市民の手に
自走型自治を実現するための具体的な「しくみ」として、「公益信託」の活用に注目しています。2024年の法改正により、より柔軟で使いやすい制度へと進化した公益信託は、特定の公益目的のために財産を信託し、市民が主体となって管理・運用するモデルです。従来の補助金モデル(行政管理・単年度・依存型)から、公益信託モデル(市民関与・長期柔軟・自走型)へと転換することで、地域課題を自ら解決する「現代的コモンズ」の創出を後押しすると考えています。
未来へつながるしくみを目指して
泉北ニュータウンでの実践を通じて得られた知見を基に、他地域でも応用可能な「普遍化条件」を明らかにすることが本研究の目的です。
•コモンズの思想的基盤の育成
•制度的な受け皿(公益信託・NPO等)の整備
•行政との適切な距離感の検討
•財源の多様性の確保
これらの研究を通じて、持続可能な地域社会のあり方をデザインしていきます。
