Project.19
Seminar 2025
2025年度ゼミ生の活動

建築と社会、地域とデザインの関係性を多角的に捉えるため、建築見学やレクチャー参加、展示会視察、現地実践を通じて学際的な活動を展開した。以下にその主な活動を紹介する。

プレイスメイキングのための什器開発(2024.9-11 / 2025.5)
東大阪市の石切参道商店街にて、ゼミ生による仮設什器の設計・制作ワークショップを実施。什器を通じて、人々が集い、滞在しやすい“まちの居場所”を創出することを目的としたこの活動では、空間構成や導線、居心地の良さといった観点からの実践的学びが得られた。また、地域住民や来訪者との対話を重ねながら、空間の意味が共有・拡張されていくプロセスを体験した。

学校建て替えに伴う教育環境の変化分析+より良い空間づくりの提案

KOYASAN STUDIO「Invisible Koyasan - 素材・記憶・身体から空間を読む- 」
地域資源のリサーチと空間インスタレーションの制作を通じて、学生が“都市の見えない構造”を読み解くフィールドワークを高野山にて実施しました。町の地形や文化、寺院建築、石材や木材などの素材を観察し、得られた発見をもとに模型・映像などを制作。高野山の空間構造を現代のデザインとして再構築する試みを行なっています。

エリア再生を体感するフィールドワーク:「morineki」視察(2025.6)
老朽化した市営住宅跡地を再開発し、公民連携による新しいまちづくりの形を提示した「morineki」プロジェクトを視察した。都市景観賞や建築学会賞を多数受賞する本プロジェクトでは、公園・住宅・商業施設が一体化され、住民と来訪者の共存を可能にする空間構成が実現されていた。「自分でつくったまちに住む」という理念に基づくデザイン手法や、パブリックスペースの質を高める設計の工夫から、建築計画における持続可能性と景観形成の重要性を実感した。

建築再生を学ぶフィールドワーク:「ポートフォリオ カフェ&コワーキングスペース」視察(2024.10)
南海本線・貝塚駅前にある旧鉄道保安倉庫をリノベーションした「ポートフォリオ」を視察。築約50年の鉄骨造建築を、地域に開かれたカフェとシェアオフィスとして再生した事例である。倉庫としての痕跡を活かしたインダストリアルな空間や、1階と2階で異なる用途・雰囲気を持たせた構成が特徴的だった。視察では、設計や運営を担う守行氏から、再生の経緯や地域との関わりについて話を伺い、既存建築を活かしながら地域資源としての新たな価値を創出する視点を学んだ。建築の再利用と地域活性をつなぐ実践的なフィールドワークとなった。
LINK ポートフォリオ公式サイト

建築見学フィールドワーク:「Good Job! Center KASHIBA」視察(2025.7)
香芝市の福祉施設「Good Job! センター香芝」を視察し、多様な “居場所” を生み出す建築設計を体感した。また、本施設では障害のある方による張り子やマスキングテープ、靴下、さらには3Dプリンターやレーザーカッターを活用した製品づくりが行われており、このような「障がいのある人と共に“ものづくり”する場の運営方法」についても学んだ。

「PRADA MODE OSAKA」建築家トークイベントへの参加(2025.6)
うめきた公園にて開催されたPRADA主催のイベント「PRADA MODE OSAKA」では、SANAAが手がけた建築空間にて、犬島でのアート・建築活動を紹介する展示が行われた。本イベントは招待制の限定公開日に参加することができ、西沢立衛氏、安藤忠雄氏、Liu Jiakun氏(プリツカー賞受賞建築家)らによるトークセッションを聴講する機会に恵まれた。世界的な建築家たちが語る建築と都市の関係性についての議論は、建築を社会文化的文脈の中で捉える視座を学生らに与える貴重な学びの時間となった。

人々の住み方に触れる:「住み方発見!! 展」の見学(2024.12)
安藤忠雄氏設計の住宅を改修したギャラリー「日本橋の家」にて開催された「住み方発見!! 展」では、500名以上の生活者の住経験インタビューをもとに、間取りや暮らし方を可視化する展示が展開された。多様な生活像を通じて“住まい”の設計が持つ文化的・社会的含意を学び、ハウジング・プランニングの新たな視座を得る機会となった。
LINK 「住み方発見!! 展」トークセッション

JR西日本コンサルタンツ株式会社武部氏による「駅まちづくり」レクチャー(2024.12)
JR西日本コンサルタンツ株式会社武部氏による「さこすて®」の取り組みに関するレクチャーでは、小規模駅を単なる交通拠点ではなく“まちの玄関口”として再定義し、地域との協働で新たな公共空間へと再生していくプロセスが紹介された。無人駅活用や住民参加のデザイン手法などを学んだ。
LINK 持続可能な鉄道駅のあり方に関する研究

大学院生による卒業設計レクチャー(2025.5)
他ゼミの大学院生を招き、卒業設計のプロセスやテーマ設定、設計の深化に関するレクチャーを実施した。実例を通して、自身の関心を卒業設計として昇華する方法や、社会的文脈と空間設計の結びつけ方について具体的に学ぶ機会となり、卒業設計に向けた動機づけと視野の広がりが生まれた。
